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がん種別・患者会

ミーネット日記


 
ラインミーネットの歩み〜行政・医療機関と共に取り組むピアサポート活動


NPO法人ミーネット
理事長 花井美紀

「共に歩む」時代へ
NPO法人ミーネットは平成16年の設立以来、名古屋を拠点として地域密着のがんサポート活動に取り組んできました。
どのように組織化し継続的な活動につなげるか、この大きな命題を前に試行錯誤を繰り返すうち、制度の後押しが得られたことは誠に幸運でした。
平成19年。がん対策基本法が施行され、患者支援の必要性が明確化したことにより、がん患者団体には新たな道が開かれました。がん患者団体と行政・医療機関はいま、同じ地平に立ち共に歩むという、明るい変革のうねりの中にいるのではないでしょうか。


がんサポートの拠点を開設
平成21年3月30日。私どもNP0法人ミーネットは、名古屋市と協働で、がん患者さんの情報収集と交流の拠点「名古屋市がん相談情報サロン・ピアネット」を開設することができました。アクセス至便な公共スペースに常設され、広さは約82平方メートル。がん図書館などの情報収集機能を備え、相談ブースや懇談スペースも設けられています。
運営の中心的存在は、半年間に及ぶ「がん・ピアサポーター養成講座」を修了した28名のピアサポーター(がん体験者やその家族)。1日3名程度でローテーションを組み、2名の事務スタッフと共に利用者のサポートにあたっています。
サロン開設の18ページにのぼる要望書を名古屋市に提出したのが3年前。行く手は波高しと思われましたが、「患者団体支援」の潮流が、目指す岸辺へと私たちを導いてくれました。

父に導かれて今がある
私のがん患者会活動は、23年前に父をがんで亡くしたことが発端です。「がん」を本人に隠したまま治療を進めることが、常識のような時代でした。
進行した直腸がんは1年半で厳しい局面を迎えます。一縷の望みを賭けた民間療法は、一つとして功を奏しません。病状の進行や変化に合わせて、家族総出で嘘の上塗りをする毎日。その陣頭指揮をとるのが私でした。
父が亡くなったとき、深い悲しみの中にも一つの達成感がありました。がんを気づかせることなく、父を安らかに旅立たせることができたと。1ヵ月後、父のベッドの下から、カバーを裏返しにした「全身のがん読本」が出てくるまでは。

本を手にしたまま立ち尽くしました。隠し通せたと思っていた。父を守ったと満足していた。なんと愚かな一人よがりでしょう。父は知っていたのです。守ったのは父であり、守られていたのは私だったのです。父の闘病はどんなに孤独だったことか。ただもう天を仰いで泣きました。
この体験は貴重なものでした。すべてを共に知った上で、分かち合うこと、支えあうこと。家族、医療者、がんにかかった患者・家族同士が。これが、自分レベルで活動を始めた頃のコンセプトです。

サポーターは活動の支柱
様々な紆余曲折はありましたが、活動の拡大をめざし、NPO法人として組織化しました。
会員の要望に応えて患者会を開催すると、さらにそこから「がん種別の患者会」への要望があがる。がん種別の患者会を成立させるためには、会員を増やさねばなりません。500〜1000人規模の講演会を開催し「1日がん図書館」や相談会を併設しました。同時に、地域のがん医療情報誌などを発行し活動財源に充て、公的な助成金もいくつか得ることができるようになりました。
短期間に一つの目標が達成できたのは、ひとえにサポーターの皆さんのお陰です。患者会を重ねるうち、500名を超えるまでになった会員の中から、運営サポーター的な人材が現れ、バックアップしてくれたからです。この方たちはいま、ピアサポーターとして患者さんを支え、ミーネットをも支えるという、活動の支柱でもあります。「分かち合い支えあう」ミーネットの基本精神を具現化してくれたのもサポーターの皆さんです。

「やりがい」という副次効果
がん相談情報サロン・ピアネットは、開設6ヵ月で700名ほどの利用者がありました。ピアサポーターにがん相談をされる方は、一様に明るい表情でサロンをあとにされます。患者同士で解決できる問題は意外と多いもので、この活動は、診療に忙殺される医師の助けになるのではないかとさえ感じるほどです。
一つの大きな副次効果は、がん体験者であるピアサポーターが、生き生きと役割に取り組んでいること。「生きがいを得た」といってくださる方々もあり、それがミーネットの明日への糧にもなっています。
ミーネット独自の「がんのピアサポーター養成講座」は、公的な助成を受け、名古屋市立大学病院・名古屋市病院局・東海がんプロフェッショナル養成プランの共催を得て、延べ29名にわたる、がん専門医の協力のもとにカリキュラムが編成されています。共催という形での医療機関や行政の協力は、ピアサポーターへの期待あればこそで、ある医師から「患者会はクレーム集団」と評された活動初期を思うとき、隔世の感を覚えます。

がんになっても安心な街づくり
さてミーネットでは、医療機関への出張ピアサポートを積極的に進めています。現在、名古屋市内の三つの診療連携拠点病院で、定期的な出張ピアサポートに取り組んでいますが、当面の目標は、名古屋市内に七つあるすべての診療連携拠点病院にピアサポーターを派遣することです。がん相談支援センターと連携しながら、外来あるいは入院中のがん患さんをリアルタイムでサポートできる体制を整えたいと思っています。
二人に一人ががんにかかる時代にあって、大切なことは「支えあう医療文化」を地域一体となって育んでいくこと。その協働が「がんになっても安心な街づくり」につながります。
「安心ほど価値あるものはない。がんになって、それがわかった」。一人の患者さんのこの言葉を噛みしめながら、さらに活動を進めて参りますので、多くの皆様のご協力をお願い申し上げます。


 
 
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